ワンダ・サー、再発売。
「ボサノバはジャケ買いするな」という格言があるそうです。その後に「アレンジャー買いをしろ」と続くのですが、そんな事を言われても困る。自分好みのアレンジャーをメモしてCDショップに行く、なんて事はした事がない。出会いって、もっと偶発的なものの方が面白い。プロフィールが目一杯書かれた釣書を読んで望むお見合いより、街角でふとすれ違った人に惹かれる方がときめきませんか?そういうことです。
店先で一目惚れしたジャケットのCDを買って、家に帰ってパッケージを破る。トレイにディスクをのせて音が再生されるまでのドキドキ感。そしてスピーカから流れ出してくる、期待に違わない、否、期待以上の音楽。
ああ、何という充足感。
そんなワンダ・サーのデビュー・アルバムがコレ。
どんなに「ジャケ買いするな」と言われても、CD屋でこのジャケットが目に留まったら、思わず手を伸ばしてしまうよなぁ。海辺にこんな娘がいたら、思わず声を掛けるでしょ?
1曲目。
変拍子に乗って流れてくる、あまりに心許ない音程にドキドキされられてしまうのですが。良いのです。
2006年辺りに再プレスされたのですが、今ではもう、かなりの稀少盤。見かけたらすぐに保護すべきです。
ワンダ・サーはこのアルバムの後、セルジオ・メンデスのブラジル'65にボーカリストとして参加。名曲『So Nice』などなどを歌っています。オリジナル・アルバムはこれまた入手困難。だったのですが。
探しまわっていた人(自分を含む)に朗報です。
この『So Nice』を収録した名盤『Brasil '65』と、ワンダ自身のアメリカ・ソロデビュー盤『Softly!』が再発売ですよ。
ワンダはこの後、結婚してしばらくお休み。90年代になって活動再開、『ブラジレイラス』という、これまた素晴らしい作品を世に送り出すのでした。相方のセリア・ヴァスは、ブラジルの女性ギタリスト。
ということで。