死んだ女の子。

Aug 06, 2020

広島に投下された原子爆弾で命を落とした少女を題材とした反戦詩『死んだ女の子』。

現在ではおそらく元ちとせが歌ったバージョンが最も有名ではなかろうか。歌詞のインパクトの強烈さよ。

死んだ女の子 - 元ちとせ

原詩はトルコの高名な詩人・Nâzım Hikmet(ナーズム・ヒクメット)。様々な言語に翻訳されたり、メロディーをつけて歌われたりしています。

日本国内でポピュラーになったのは、1967年、当時メッセージ・フォークの旗手であった高石ともやが自身のアルバムに収録したのがきっかけのひとつ。

死んだ女の子 - 高石ともや:1967

元ちとせが歌うバージョンと、訳詞・曲は同一のものです。義理の親父さんが酔っ払って、よくこの曲を口ずさんでいたのを思い出します。

英語に訳され、曲を付けたバージョンは『I Come and Stand at Every Door』というタイトルで歌い継がれています。メジャーどころでの初出は、おそらく1966年のThe Byrds。アルバム『Fifth Dimension』に収録されています。

Fifth Dimension - The Byrds:1966

話は戻って、元ちとせ版の『死んだ女の子』。

この曲を初めて耳にしたのは、若松孝二監督の映画『キャタピラー』の主題歌として。

戦場そのものや国の中枢の動きを追うのではなく、戦時中の市井の人々の生活から戦争の残酷さ、哀しさを描く…というコンセプトの、反戦を真正面からテーマに据えた作品。

その意図するところも分からないではないのですが、登場人物の性格設定もろもろエグすぎて、視点がいまいち定まらない。観終わってみれば「主演の寺島しのぶ、スゲぇ」という感想しか残らない、という勿体ない映画。

要するに、主人公たちの立ち位置が特殊すぎて、『この世界の片隅に』が上手くやったような "すずさん個人のエピソード = 当時の誰もが体験し、感じたであろうこと" という一般化 / 共感の喚起がまったく働かないのだな。残念。

まぁ、兎にも角にも、愛と平和。

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