『Sweet Caroline』がスポーツイベントで歌われる理由。
2021年の9月末に行われたボクシングのヘビー級タイトルマッチ・ジョシュアvsウシク。
徐々にペースを掴んだウシクが見事ベルトを奪取…という試合だったのですが、選手入場前に会場で流され、観客が大合唱していたのがニール・ダイアモンドの『スウィート・キャロライン』。
この曲、MLBではボストン・レッドソックスの本拠地で流されて、観客が大合唱することで知られています。その他にも、サッカーのイングランド代表が勝利したときや、NFLのカロライナ・パンサーズのホームゲーム、ピッツバーグ大学のアメリカンフットボールチームなどなど、いろいろな場所で歌われています。
「すうぃーと きゃーろらーいん おっおっおー」
…確かに気分がアガるいい曲だけれど、何故、この曲? 歌詞の内容は「愛しのキャロライン、大好きだよ。君と出会えて良かったよ」みたいなラブソングで、スポーツ要素は皆無です。
調べてみると、この曲がスポーツイベントで歌われる理由は「ノリが良くて明るい気分になり元気が出るから」。なんと単純な!
MLBのサイトにHow 'Sweet Caroline' became a Fenway hit(『スウィート・キャロライン』がフェンウェイパークでヒットした理由)という記事が掲載されていました。フェンウェイパークはボストン・レッドソックスのホームスタジアム。それによると…
- 1997年、フェンウェイパークのスタジアムDJが「知り合いに "キャロライン" という名前の子供が生まれた」という理由でこの曲を流す。
- その後数年間、この曲は試合が既に盛り上がっている場面で流されていた。
- 2002年、当時の球団副社長が「この曲には、チームが劣勢のときでもその重い雰囲気を変える力があるのではないか」と考え、『Sweet Caroline』を毎日流すことになる。
- そして伝統へ…。
…という具合。
「知り合いの子供の名前がキャロラインだから」という他愛もないきっかけから、チームの伝統が生まれてしまうのだな。
さて、他の場所ではどうか。
こちらの記事:How 'Sweet Caroline' became the Pitt fans' singalongによると、ピッツバーグ大学アメリカンフットボールチームでは、2008年からホームゲームで歌われているようです。こちらも理由は「ポジティブな空気になるから」。
カロライナ・パンサーズのほうは、明確なソースが見当たらなかったのですが、1996年あたりからホームゲームで使用しているらしい。Carolina と Caroline を掛けているのだろうか。
サッカーでは、ウェンブリーで行われたEuro 2020のイングランドvsドイツ戦。イングランドが勝利した試合の終了後、スタジアムにこの曲が流れての大合唱は素敵でした。
こちらの記事:Why do England fans sing ‘Sweet Caroline’? How Neil Diamond’s classic song became a football anthem at Eurosに書かれていますが、試合後、ウェンブリーのDJが「(敗れたドイツも含め)すべてのファンが楽しめる曲だから」という理由でこの曲をチョイスしたようです。
ともかく、1960年代から80年代を中心に活躍したポップス界の大スターのヒット曲が、半世紀以上を経ても歌い続けられている(しかも、当初は全く想定していなかったであろうスポーツイベントという場で)というのは凄いことですな。