ニッポン人、Bossa Novaに出会う。 - ニューミュージック編 -
さてさて1970年代に入ってしばらく経つと、日本では「ニューミュージック」と呼ばれる音楽ジャンルが大きなムーブメントを巻き起こします。この「ニューミュージック」という、なんだか曖昧な括りの、言ってしまえば何でもアリなジャンルの中で、ボサノバアレンジの名曲が幾つも誕生したのです。
まずは1975年の年末に発売されて、ユーミンの人気を不動のものにした『あの日にかえりたい』。アルバム『YUMING BRAND』に収録。
のちに、2001年発売のベストアルバム『sweet, bitter sweet』初回版ボーナストラックに、小野リサとの競演バージョン(素敵なアコースティック・ボッサです)が収録されました。
ユーミンの都会的な雰囲気と抑揚の無いボーカルは、まさにボサノバ向き。
そして1976年、丸山圭子の『どうぞこのまま』が大ヒット。翌年には尾崎亜美『マイ・ピュア・レディ』。
その次の年、1978年にはコーラスグループ、サーカスの『Mr.サマータイム』がヒットしました。この『Mr.サマータイム』、原曲はフランス産だそうで。『UNE BELLE HISTOIRE』というシャンソン。
同じ年に八神純子がデビュー。彼女のボサノバ・テイストの曲としては、ヒット曲『思い出は美しすぎて』が有名ですが、ヤマハのポプコンで披露してデビューのきっかけとなった『雨の日のひとりごと』も良い。
1979年、門あさ美がデビュー。デビューアルバムの『Fascination』は夏にぴったりの名盤。タイトルチューン『ファッシネイション』はボサノバっぽいリズムの佳曲です。
1980年の五十嵐浩晃のデビュー曲『愛は風まかせ』もいい。そして後に彼は、大ヒット曲『ペガサスの朝』をボサノバアレンジで録音しています。アルバム『White & Blue』に収録。これもまた良い。
1982年には、桑田佳祐が作ったこの曲が大ヒット。
何故か「雨」を織り込んだ曲が多いですね。
Bossa Novaの特徴といえば、生誕地ブラジルでの勃興の経緯や初期の形態からして「都会的」「おしゃれ」「郷愁」「切なさ」、そして「柔らかいボーカル」「アコースティックギター」「ピアノ、オーケストラで味付け」というのが基本だと思うのですが、日本では「都会的」で「おしゃれ」という部分が少しばかり先鋭化しているようです。
さてさて、過去のヒット曲をボサノバ・アレンジでセルフカバー、というパターンの名演。
アルバム『music & me』に収録。ユーミン楽曲。
絶妙な不安定さを持ったボーカル、そして彼女が醸し出す都会的でクールな雰囲気、それでいて何だか暖かい。ボサノバにうってつけの要素を持った原田知世。良い。もっとBossa Nova歌ってほしい。
ということで、日本に於けるBossa Nova歌謡曲 / J-POPの歴史でした。並べて聴いてみると、加山雄三楽曲のボサノバとしての完成度は異常。
凄いぞ、若大将!