ニッポン人、Bossa Novaに出会う。 - ニューミュージック編 -

Jul 29, 2008May 20, 2020

さてさて1970年代に入ってしばらく経つと、日本では「ニューミュージック」と呼ばれる音楽ジャンルが大きなムーブメントを巻き起こします。この「ニューミュージック」という、なんだか曖昧な括りの、言ってしまえば何でもアリなジャンルの中で、ボサノバアレンジの名曲が幾つも誕生したのです。

まずは1975年の年末に発売されて、ユーミンの人気を不動のものにした『あの日にかえりたい』。アルバム『YUMING BRAND』に収録。

YUMING BRAND - 荒井由実:1975

のちに、2001年発売のベストアルバム『sweet, bitter sweet』初回版ボーナストラックに、小野リサとの競演バージョン(素敵なアコースティック・ボッサです)が収録されました。

ユーミンの都会的な雰囲気と抑揚の無いボーカルは、まさにボサノバ向き。

そして1976年、丸山圭子の『どうぞこのまま』が大ヒット。翌年には尾崎亜美『マイ・ピュア・レディ』。

どうぞこのまま - 丸山圭子:1976
マイ・ピュア・レディ - 尾崎亜美:1977

その次の年、1978年にはコーラスグループ、サーカスの『Mr.サマータイム』がヒットしました。この『Mr.サマータイム』、原曲はフランス産だそうで。『UNE BELLE HISTOIRE』というシャンソン。

Mr.サマータイム - サーカス:1978
UNE BELLE HISTOIRE - Michel Fugain & Le Big Bazar

同じ年に八神純子がデビュー。彼女のボサノバ・テイストの曲としては、ヒット曲『思い出は美しすぎて』が有名ですが、ヤマハのポプコンで披露してデビューのきっかけとなった『雨の日のひとりごと』も良い。

雨の日のひとりごと - 八神純子:1974

1979年、門あさ美がデビュー。デビューアルバムの『Fascination』は夏にぴったりの名盤。タイトルチューン『ファッシネイション』はボサノバっぽいリズムの佳曲です。

Fascination - 門あさ美:1979

1980年の五十嵐浩晃のデビュー曲『愛は風まかせ』もいい。そして後に彼は、大ヒット曲『ペガサスの朝』をボサノバアレンジで録音しています。アルバム『White & Blue』に収録。これもまた良い。

愛は風まかせ - 五十嵐浩晃:1980
ペガサスの朝(New Version) - 五十嵐浩晃:1991

1982年には、桑田佳祐が作ったこの曲が大ヒット。

恋人も濡れる街角 - 中村雅俊:1982

何故か「雨」を織り込んだ曲が多いですね。

Bossa Novaの特徴といえば、生誕地ブラジルでの勃興の経緯や初期の形態からして「都会的」「おしゃれ」「郷愁」「切なさ」、そして「柔らかいボーカル」「アコースティックギター」「ピアノ、オーケストラで味付け」というのが基本だと思うのですが、日本では「都会的」で「おしゃれ」という部分が少しばかり先鋭化しているようです。

さてさて、過去のヒット曲をボサノバ・アレンジでセルフカバー、というパターンの名演。

時をかける少女(アコースティック・バージョン)
    - 原田知世
:2007

アルバム『music & me』に収録。ユーミン楽曲。

絶妙な不安定さを持ったボーカル、そして彼女が醸し出す都会的でクールな雰囲気、それでいて何だか暖かい。ボサノバにうってつけの要素を持った原田知世。良い。もっとBossa Nova歌ってほしい。

ということで、日本に於けるBossa Nova歌謡曲 / J-POPの歴史でした。

並べて聴いてみると、加山雄三楽曲のボサノバとしての完成度は異常。

凄いぞ、若大将!

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