ボレロ・ジャパネスク - 日本音楽集団
Sep 06, 2020
大昔の学生時代、先輩の部屋に遊びに行ったときにBGMとして流されていたのがこれ。聴いたときの衝撃を、今でも思い出します。
老舗の邦楽器アンサンブル・日本音楽集団が、ラヴェルの『ボレロ』をはじめとした、サティやフォーレやドビュッシーらの近代フランスの名曲を演奏しています。
邦楽器で西洋音楽を…となると、いかにも奇を衒った企画ものを想像するかもしれません。でもここにあるのは、和と洋の見事な調和。ただ単に近代フランスの旋律を和楽器で演奏している、という安直な感じも一切なし。
日本音楽集団の演奏力もさることながら、編曲を担当した池辺晋一郎の力に拠るところが大きいのではなかろうか。
手元にあるこのCDのライナーノーツに、池辺本人による本作品の編曲ポリシーが解説されているのでちょっとだけ引用します。
・原曲のスコアを尊重する。すなわち、原曲の「おいしいところ」だけを使った編曲などしない。
・邦楽器の特性を生かし、編曲されたものを「邦楽」として考える。すなわち、表情やアゴーギク(速度法)などについて、オーケストラやピアノである「もとの形」にとらわれない、新しい発想を掴む。
・邦楽器の特性を生かし、編曲されたものを「邦楽」として考える。すなわち、表情やアゴーギク(速度法)などについて、オーケストラやピアノである「もとの形」にとらわれない、新しい発想を掴む。
なるほど。
邦楽でありながら西洋音楽。西洋音楽でありながら邦楽。ほんとうに見事な作品に仕上がっています。
あぁ、たくさんの人に聴いてほしい。
聴いてほしいのだけれど、聴かせる術がない。
もう30年以上前の作品で、CDは入手困難。デジタル配信も行われていないようなのです。
こういった作品が忘れ去られてしまうのは非常に勿体無い。このアルバムを何処かで見かけたら是非、保護してくださいな。