2009年の問題作『enka bossa -演歌ボッサ-』
暮れも押し迫ったこの時期に、Bossaカバー界に久々の問題作が登場です。
曲を追加収録したバージョンが新装リリース。
題名の通り、演歌のヒット曲をボサ・ノヴァでカバー...というアルバム。カオリーニョ藤原師匠の同名の絶品アルバム『演歌BOSSA』とはコンセプトも内容も全くの別物です。
収録曲リストはこんな感じ。
- 時の流れに身をまかせ
- 雪國
- 津軽海峡・冬景色
- 川の流れのように
- 北酒場
- 夜霧よ今夜もありがとう
- つぐない
- 人生いろいろ
- 愛のままで...
- 北の宿から
- 海雪
冬の曲が盛りだくさん。
前にどこかで書いたけれど、Bossa Novaって本国ブラジルでは既に「過去の音楽 / 既に完成されてしまった様式」扱いされることが多くて(クラブ系にアレンジされる、というような形では現役ですが)、これは日本に於ける演歌の立ち位置に似ているかもしれない。「ど演歌」って絶滅危惧種に近くて、「歌謡曲」「ポップス演歌」というかたちで生き続けているというか。
で、Bossa Novaといえばサウダージ(無理矢理訳せば郷愁)。これは、ある種の演歌と共通項であるかもしれない。でもBossa Novaのもうひとつの特徴は「都会的」。こちらはどうかしら。つまり、
vs
郷愁・哀愁・情念・地方的 = 演歌
というコラボレーション。
まぁ日本では昔から「ラテン歌謡」というジャンルもあることだし、悪くないマッチングなのかもしれぬ。
しかし『海雪』ですよ。ヒップホップな格好をしたアフリカ系シンガーが歌う演歌をボサ・ノヴァアレンジにしてカバー…って、冷静に考えると意味が分かりませんなぁ。
試聴しないで買うのにはちょっと勇気がいるので、福岡市内のCD屋さんをかなり廻ったのですが、このアルバムどこにも置いてない...。
ところでこのCD、「業界初! キッズ・ボッサの制作陣が贈る演歌ミーツボサノヴァ」というキャッチコピーが付いているようですが、探してみると「演歌 + Bossa Nova」、他にもあるものですね。
収録曲は…
- 時の流れに身をまかせ
- すずめの涙
- 別れの予感
- 愛人
- 人形
- フライディ・チャイナタウン
- 夢までTAXI
- 想いで迷子
- NE-KO
- 心凍らせて
- 男と女の破片
- 追憶
テレサ・テン濃度が濃いめ。そしてアレンジもボサノバというよりは、お洒落ムード歌謡ですなぁ。これは「Bossa Nova」とは認め難いです。